コンテントヘッダー
コンテントヘッダー
第十話:のりこの誕生日
のりこと付き合い始めて3年の月日がたちました。
し~太郎のなかでのりこの存在は次第に大きな位置を占めるようになりました。
そろそろかな……。
今までのし~太郎にとって女づきあいというものはあくまで一時的な遊びであって、
それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
飲んで騒いで、そして時にはエッチ……
それでよかったのです。それは相手の女の子も同じだったはずです。
しかしのりこはし~太郎にとって、明らかにそういった女の子たちの枠を超える存在になっていたのでした。
…………。
やがてのりこの誕生日がやってきました。
し~太郎はのりこにプレゼントは何が欲しいか、さりげなく聞いてみました。
『……何もいらないよ』
し~太郎は唖然としました。
実は、し~太郎はのりこの誕生日にプレゼントを贈りそれと同時にプロポーズする心積もりだったのです。
『……本当に何もいらないのか?』
『うん、いらないよ。いつもみたいにどこか旅行にでも連れて行ってくれればそれでいいよ』
し~太郎は驚くと同時に内心、ほっとしました。
そう、のりことの結婚を決意しているつもりでも心の奥では、やはり結婚へのためらいがあったのでしょう。
しかし今のような関係を続けるわけには行かない、そろそろけじめをつけなくては。
そんな考えも頭にはありました。
その時は確か、下呂の温泉宿に行ったのですがし~太郎にそれを楽しむ余裕はありませんでした。
どんないい景色をみても、いいお湯に入っても、宿の豪勢な食事も
し~太郎の胸のわだかまりを消すことは出来ませんでした。
いままでずっと自分のそばに寄り添い、すでに生活の一部、まるで本当の家族のように
接してきたのりこ……。すでにそれは恋人を超えた仲でした。
しかしその時のし~太郎はまるで美術品を見る鑑定士のように、
のりこを品定めするようになっていました。
事件は旅行の帰り道に起きました。
のりこは例によってこの旅行でトイレ禁止ツアーを企画していました。
しかしそこはし~太郎、伊達に3年間のりこと付き合ってきただけあってその対処は心得ています。
お酒を飲みすぎないこと、お風呂でトイレを済ますこと、
どうしてもトイレに行きたくなったらタバコを吸いに行く振りをすればいいのです。
しかし……
どういうわけか、のりこと出かけると必ず帰りに渋滞に嵌ります。
そしてそう言うときに限ってトイレにやたら行きたくなるのです。
しかも今回はおしっこではありません。
大きいほうがしたかったのです。
『なあ、頼むよ、のりこ……』
『約束でしょ、トイレ行かないって言う……』
『それはおしっこの話だろ?
なあ、のりこ。俺が車好きなの知ってるだろ?』
『知ってる』
『俺、嫌なんだよ。自分の車にアレの匂いとかつくのが……』
『私と車、どっちが大事?』
『どっちも大事だって。というかすでに漏れそうなんだけど……』
『漏らせば?』
これにはし~太郎もカチンと来ました。
し~太郎は無言でハンドルを切ると、
近くのコンビニに止めトイレを借りました。
『くそ、腹いてぇ……』
し~太郎は排泄を済ますと、静まり返ったトイレの白い壁を見つめながら考えました。
のりこと関係、もう一度見直したほうがいいかもしれない……。
俺たちはどうも距離が近すぎる。のりこの要求も最近は遠慮がなくなってきている……。
この頃からでした。
し~太郎とのりこの間に、暗雲が立ち込め始めたのは……。
し~太郎のなかでのりこの存在は次第に大きな位置を占めるようになりました。
そろそろかな……。
今までのし~太郎にとって女づきあいというものはあくまで一時的な遊びであって、
それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
飲んで騒いで、そして時にはエッチ……
それでよかったのです。それは相手の女の子も同じだったはずです。
しかしのりこはし~太郎にとって、明らかにそういった女の子たちの枠を超える存在になっていたのでした。
…………。
やがてのりこの誕生日がやってきました。
し~太郎はのりこにプレゼントは何が欲しいか、さりげなく聞いてみました。
『……何もいらないよ』
し~太郎は唖然としました。
実は、し~太郎はのりこの誕生日にプレゼントを贈りそれと同時にプロポーズする心積もりだったのです。
『……本当に何もいらないのか?』
『うん、いらないよ。いつもみたいにどこか旅行にでも連れて行ってくれればそれでいいよ』
し~太郎は驚くと同時に内心、ほっとしました。
そう、のりことの結婚を決意しているつもりでも心の奥では、やはり結婚へのためらいがあったのでしょう。
しかし今のような関係を続けるわけには行かない、そろそろけじめをつけなくては。
そんな考えも頭にはありました。
その時は確か、下呂の温泉宿に行ったのですがし~太郎にそれを楽しむ余裕はありませんでした。
どんないい景色をみても、いいお湯に入っても、宿の豪勢な食事も
し~太郎の胸のわだかまりを消すことは出来ませんでした。
いままでずっと自分のそばに寄り添い、すでに生活の一部、まるで本当の家族のように
接してきたのりこ……。すでにそれは恋人を超えた仲でした。
しかしその時のし~太郎はまるで美術品を見る鑑定士のように、
のりこを品定めするようになっていました。
事件は旅行の帰り道に起きました。
のりこは例によってこの旅行でトイレ禁止ツアーを企画していました。
しかしそこはし~太郎、伊達に3年間のりこと付き合ってきただけあってその対処は心得ています。
お酒を飲みすぎないこと、お風呂でトイレを済ますこと、
どうしてもトイレに行きたくなったらタバコを吸いに行く振りをすればいいのです。
しかし……
どういうわけか、のりこと出かけると必ず帰りに渋滞に嵌ります。
そしてそう言うときに限ってトイレにやたら行きたくなるのです。
しかも今回はおしっこではありません。
大きいほうがしたかったのです。
『なあ、頼むよ、のりこ……』
『約束でしょ、トイレ行かないって言う……』
『それはおしっこの話だろ?
なあ、のりこ。俺が車好きなの知ってるだろ?』
『知ってる』
『俺、嫌なんだよ。自分の車にアレの匂いとかつくのが……』
『私と車、どっちが大事?』
『どっちも大事だって。というかすでに漏れそうなんだけど……』
『漏らせば?』
これにはし~太郎もカチンと来ました。
し~太郎は無言でハンドルを切ると、
近くのコンビニに止めトイレを借りました。
『くそ、腹いてぇ……』
し~太郎は排泄を済ますと、静まり返ったトイレの白い壁を見つめながら考えました。
のりこと関係、もう一度見直したほうがいいかもしれない……。
俺たちはどうも距離が近すぎる。のりこの要求も最近は遠慮がなくなってきている……。
この頃からでした。
し~太郎とのりこの間に、暗雲が立ち込め始めたのは……。